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TW3「エンドブレイカー!」内PC関係の雑記。

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これは、ほんの少し前と、ちょっと先のお話。
暗い暗い、月もない夜のお話。


あれはそう、当主として認められて間もない頃でした。
ランスブルグの治安はまだまだ荒れ模様で、いくつもの事件が日々起こり続けていて、
レイスさんの師団『煉獅子』が毎日のように哨戒や救援活動を繰り返していたそんな時期。
わたしはアヴァロンのお屋敷でお勉強ばかりしていました。
イアンさんに「あなたはまず、当主としての自覚と品格を持たねばなりません」と言われ、
いくつもの作法の本やカメロットの関係者各家についてを教え込まれ、
めまぐるしいほどに忙しい日々を過ごしていました。
そう、忙しい日々を。
けれど、やることが多いにもかかわらず私は毎日退屈してました。
どちらかというとお勉強は苦手で、身体を動かしてる方が気が楽になれたから、
(そういう意味ではわたしって、騎士の仕事は向いているのかもしれません)
次第に私の中にもやもやと渦巻く感情が勢力を増していくのを感じていました。

だから、10月のある日、私はそっとお屋敷を抜け出したのです。
昼間はずっとイアンさんに見張られてお勉強ばかりだったから、
夜にこっそり、人目につかないようにお屋敷から逃げ出して町へと出ました。
(今思い返せば、あの要塞のようなお屋敷から、よくこっそり抜け出せたなぁと驚きです)

夜の町は騒がしく、陽気で、酒場から聞こえる笑い声を聞くだけで元気になって、
閉じこもりっぱなしだったわたしにはとても眩しく感じました。
その分騒ぎも多いもので、酒場の中からは派手に物がひっくり返る音や、瓶の割れる音、
威勢のいい男達の怒声と歓声が酒場の外にまであふれかえるほど。
(仲裁に行かないとなぁ……)
酔っぱらいの喧嘩独特の勢いが少し怖かったけど、その酒場へと入ろうとしました。

ですが、ちょうどその時私の前を通り過ぎた、一組の男女に目を奪われてしまったのです。
正確には、連れの女性の、その目の中に。
彼女の目に映ったそれは、間違いなくエンディングでした。
エンディングの中の彼女は、街灯もまばらな薄暗い路地で死んでいました。
冷たい石畳の上、肩口から胸の中央までを深く切り裂かれていた彼女は
傍らに立つ仮面をつけた何者かに冷たく見下されていました。
マスカレイドによる殺人事件。
それを見過ごすことはできませんでした。
わたしは男と別れ、反対側の路地へと入っていく彼女をこっそりと追いかけることにしました。
奥へ奥へと進むたびにドロースピカの明かりが消えてゆき、
次第にエンディングで見えた場所に近くになってゆく。
きっと彼女はこのあと、殺されてしまうんだ。
わたしはたったひとりでこの場にやってきてしまったことに恐怖していました。
相手の力量も、守り切れるかどうかわからない、作戦もない。
そんな状況のまま、ついにエンディングで見えたその場所に辿り着いてしまいました。
彼女が立ち止り、ナニカに怯えて一歩、二歩と後退りするのが見え、
わたしは慌てて飛び出した先に見えたのは――仮面をつけた男の姿。
男から庇うように彼女の前に立つと、わたしは銃を手にその男と対峙します。
銃を向け、精いっぱい睨みつけるわたしに、男は剣を抜いて近づいてきます。
自分の背後へと逃がした女性はいつの間にか遠く、元来た道を戻っていました。
彼女の未来が多少でも変わったのなら、と思うとホッとしましたが、
目の前のマスカレイドを一人で倒さなければならないという状況は変わらずで。
冷静を装うのに精いっぱいの私に対し、男は余裕を持って接近してきて、
ずるりと引き抜いた剣をわたしへと向ける。
構えた銃口の先、にぃっと、男が笑ったのような気がしました。
剣の間合いに入る手前、攻撃するなら今だと引き金に指をかけたその時です。

「邪魔だ」

一閃。
凍りつくほど冷たい声が聞こえたかと思った瞬間、
目の前に立っていたそのマスカレイドの首が綺麗に跳ね飛ばされた。
あまりの光景に銃を握ったままその場に腰をついてしまったわたしの前には、
首を亡くして血を噴水のように噴き出しながら倒れる仮面の男と、
その男を背後からたった一太刀で屠ったもう一人の姿。
仮面の男同様に暗い色のローブを着ていたその人はどうやら男性で、
暗路でも映える真白い肌と、銀色の髪のその下に
血のように真っ赤な瞳が二つ、浮かび上がっていました。

「……見られたか」

わたしを見下ろしたその人は、まるで死人や、幽鬼の類のようで。
目を逸らせないままのわたしを真っ直ぐと見つめ返していました。
けれど少しの間をおいて、先程マスカレイドを切り伏せたその切っ先が、
ゆっくりとわたしへと向けられた瞬間。

「なら、殺そう」

ほの暗さを残した狂気の笑みが、見えたような気がしました。


※息抜きぐだぐだストーリー。
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