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TW3「エンドブレイカー!」内PC関係の雑記。

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傷が痛む。
あの日受けた傷が僕に訴えかけている。

『お前は弱い』と。






眠れなくて、夜の町を歩く。
宛もなく歩くのは嫌いじゃない。時に新たな何かを発見できるからだ。
しかし夜独特の活気に満ちた大通りは意外と人が多い。
面倒ごとに巻き込まれるのが嫌で、僕は人混みを避けるように入り組んだ路地裏に入り込む。
建物に切り取られた細い空には鈍く沈んだ雲。
時折垣間見える月に暈がかかっている。明日の天気は悪いのだろう。
ふと襤褸い家の片隅で野宿をしている少女を思い出す。
天気の悪い日くらいは宿の部屋を貸してやるのも悪くないかもしれない。
そんなことを考えながら歩いていると肩に何かがぶつかった。
男だ。僕よりも少し背が高く、体躯のいい男だ。
顔は赤らみ、目は据わっていて、呼気は酒臭い。
破落戸の酔っ払いだ。
正直あまり関わりたくない相手だ。僕は軽い詫びを告げると足早にその場を去ろうとした。
だが遅かったようだ。男は僕を掴むと溢れんばかりの苛立ちを僕へと向ける。

「どこ見て歩いてやがる、こんガキが!痛い目見てぇのか、ぁあ!?」

耳障りな声が嫌と言うほどの大音量で頭に響く。
男は言葉を言い終える前には拳を握りしめ、僕へと振りかざしていた。
厄介なのに絡まれた。
しかし運がいいことに周りには人どころか動物の気配すらない。
どうせろくでもないやつだ。まともに相手なんてする必要もないだろう。
利き腕を掴まれていなくてよかったと思いながら僕は相手を冷ややかに見据える。

「ぁぁ?なんだその目は?躾が必要かガキぃ!」
「黙れ、障害が」

武器を引き抜く。
切りつけるのではなく、柄で男の鳩尾に一撃を加える。
鍛えようもない場所に食らった攻撃が効いたのか、男は呻き声と共に手を離した。

抜刀、納刀。
それらを手早く終えると僕はその場を去る。
長い裏路地を抜けると広場に出た。噴水のそばには調子に乗った酒飲みや大道芸。
僕はそれらを横目に町はずれに向かって歩く。
絡んで来た男は今頃頭を冷やしているだろう。あの下品な声も聞こえなくなり、気が軽くなる。
耳障りだった他の音も遠ざかり、やがて僕の周りを静寂と夜の闇が包む。

ひとりはいいものだ。
不思議と心が研ぎ澄まされ、鋭く尖っていくのを感じる。
このまま一人でい続けたらきっと、僕は剣になるんだろう。
触れられれば傷つけ、心なく、ただ仮面と終焉を打ち砕く道具。
それもいいかもしれないと、少し前まで思っていた。
だが、先生の言葉が僕の行動を縛る。

『アーサー、君に足りないものを補ってくるといいよ』

今僕に足りないものなんて、強さ以外にはないはずだ。
それ以外に何かがあるのだとしたら、いったい何なのだろう。
静寂の中、考えていてわからないと気付くとまた町に行く。
忌わしいほどいとおしい、喧騒の中へと紛れ込む。
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