TW3「エンドブレイカー!」内PC関係の雑記。
礼装は嫌いじゃない。
ネクタイを締めることがほとんどないから、タイピンを留めるだけで心が弾む。
袖を通すと自然と背筋も心も真っ直ぐ伸びてしまう。
だが、パーティーは好きじゃない。
様々な理由をこじつけて催してはいるが、
本当の目的は権力の誇示や忠誠心の確認のため。
大体の客人はそれに気づいているし、渋々参加しているやつばかりなもんだ。
世辞と張り付いた笑顔が並ぶあの場所にいるのは気分が悪くなる。
本音をぶちまけると、このままこっそりと抜け出してしまいたい。
彼女と一緒に、幼い日に訪れたあの別荘に行って、
花でも眺めながらゆっくりとした時間を過ごしたい。
だが、「主賓」の親族なのだから出なければならない。
下手をすれば僕自身が主賓として迎えられてたんだから
その辺は我慢しなければならないのは当たり前だ。
(とは言え、あんなことがあった後だからな……)
ため息をひとつ。
女王騎士によるランスブルグ襲撃から2ヵ月が過ぎ、
第三階層はようやく落ち着きを取り戻したが、
戦禍の残滓は未だ人々の心の奥底に蔓延っている。
そこへ追撃をかけるような新事実の洪水だ。
三日月湖で出会った少女の話はエンドブレイカー達に衝撃を与え、
同時に「作られる理不尽な終焉を壊さねばならない」と僕たちに運命づけた。
そんな慌ただしい2か月。
本来ならこのパーティーも延期すべきだったのだが、
一時的ではあるが平穏を取り戻した今のうちに、
また新当主たるエレインをこの地に拘束できる間に開きたいと急かされ、
急遽第三階層にあるアヴァロン邸にて開催が決定した。
考えれば考えるほど間抜けた話だ。
舞台も整わぬままに役者だけ揃えて本番に挑もうとしているようなものなのだから。
ネクタイを締めることがほとんどないから、タイピンを留めるだけで心が弾む。
袖を通すと自然と背筋も心も真っ直ぐ伸びてしまう。
だが、パーティーは好きじゃない。
様々な理由をこじつけて催してはいるが、
本当の目的は権力の誇示や忠誠心の確認のため。
大体の客人はそれに気づいているし、渋々参加しているやつばかりなもんだ。
世辞と張り付いた笑顔が並ぶあの場所にいるのは気分が悪くなる。
本音をぶちまけると、このままこっそりと抜け出してしまいたい。
彼女と一緒に、幼い日に訪れたあの別荘に行って、
花でも眺めながらゆっくりとした時間を過ごしたい。
だが、「主賓」の親族なのだから出なければならない。
下手をすれば僕自身が主賓として迎えられてたんだから
その辺は我慢しなければならないのは当たり前だ。
(とは言え、あんなことがあった後だからな……)
ため息をひとつ。
女王騎士によるランスブルグ襲撃から2ヵ月が過ぎ、
第三階層はようやく落ち着きを取り戻したが、
戦禍の残滓は未だ人々の心の奥底に蔓延っている。
そこへ追撃をかけるような新事実の洪水だ。
三日月湖で出会った少女の話はエンドブレイカー達に衝撃を与え、
同時に「作られる理不尽な終焉を壊さねばならない」と僕たちに運命づけた。
そんな慌ただしい2か月。
本来ならこのパーティーも延期すべきだったのだが、
一時的ではあるが平穏を取り戻した今のうちに、
また新当主たるエレインをこの地に拘束できる間に開きたいと急かされ、
急遽第三階層にあるアヴァロン邸にて開催が決定した。
考えれば考えるほど間抜けた話だ。
舞台も整わぬままに役者だけ揃えて本番に挑もうとしているようなものなのだから。
そこへ、思考を遮るようにノックが二回。
「失礼致します。アーサーさま。お支度は整っておいででしょうか」
扉の先から深みのある低音が響く。
僕は襟元を整え、鏡越しに扉を見て「ああ、間も無く終わる」と一言。
ついでに入室を許可すると扉が内側に音もなく開いた。
扉の前にはカーディナルレッドの礼服に身を包む若い男がひとり。
慇懃無礼という言葉を形にして、服を着せたらこんな男になるだろう。
姿勢を正し、手を胸下に一礼すれば、熟練のバトラーを思わせるほど優麗。
この男がかの有名な赤の女傑、レイス・アヴァロンの双子の弟とは誰も思うまい。
そう、容貌や仕草だけならば、そうは思わない。
「ああ、何と――何と麗しい」
僕の脳内評価を知らないであろうその男――イアン・アヴァロンは
顔を上げるなり妙に声を高揚させ、且つ頬を紅潮させて、
それはもう気持ち悪いくらい悦に入った表情で近寄ってくる。
「普段の御召し物も異国情緒溢れて素敵ですが、
礼装ですと貴族としての品格と支配者としての風格が全身から溢れ出てまた素晴らしい。
何よりも氷柱の如く突き刺すような眼差し……本日は格別に冷たく心を抉るようで私非常に興奮しt」
「世辞はいいからさっさと用件を言え。そして帰れ」
手を握られそうになるのを回避し、ついでにアイスレイピアを抜く。
気持ち普段より冷気を発しているのは僕の心境のせいだろう。
極力近づきたくない(ついでに触りたくない)僕に対し、
相変わらずガードが堅い……だがそこがいい。
と呟き差し出していた手で口元を隠すイアン。
聞きたくない台詞が聞こえたが敢えて無視しよう。
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