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TW3「エンドブレイカー!」内PC関係の雑記。

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宿屋に戻ったその後、アーサーは父と共に外食に出た。
第二階層に来た時は大体ふたりは馴染みの宿に泊まり、
お気に入りのパスタが美味しい店で夕食を取る。
窓際の、通りの見える席に案内されると、
アーサーはカルボナーラを、父エクターは今日のおすすめを注文し、
一日をゆっくりと振り返るのがささやかな楽しみとなっていた。

エクター・カリブルヌスは名医というわけではない。
だが、自分が治せる病気と治せない病気、それを理解していた。
自分で事足りることならば精いっぱいの治療を、
自分では力不足だと思うことには他の医師の協力を仰ぎ、
自分でできる限りの措置を懸命に行う。
己の力量を知り、己の未熟さを知り、その上で高みを目指す。
「この人になら命を預けてもいい」と安心できる医者だった。

そんな彼を見て育ったためか、息子も娘も父の仕事に興味を持った。
気づけば兄であるアーサーは医学を学び、父の手伝いを。
妹のエレインは薬学を学び、施療院で働いている。
父も「子供たちが興味を持ってくれたのなら」と自分が教えられることを教え、
彼らを導くべく、良い教育者として良い親として接していた。



着替えの終わったポーシア・ローシアは疲弊していた。
つい先ほどまで繰り広げられていた着せ替えごっこのこともあるのだが、
あらゆることに対して気を使わなければならない現状に疲れ切っていた。
施された化粧、薄く軽いドレス、紅茶と茶菓子。
ついでに自分を取り囲み「可憐だわ」「愛らしいわ」と盛り上がるメイドたち。
慣れない環境に居続けること――否、慣れない環境から逃げ出せない現状ほど
彼女のGUTSを減らせるものはなかった。

ぶっちゃけると今すぐ服を着替えてどっか行きたい。
ここではないどこか、緑の多い場所がいいな、とポーシアは目を閉じる。
木々が茂った丘。なだらかな緑の稜線。好きなものを思い浮かべて。
ああ、海もいい。泳げないけれど、眺めているのは好き。
そうやって現実逃避を始めた時だった。



エレインが実家で義姉と雑談している様子を
近くの森から監視している者達がいた。

一人――頭巾でくすんだ赤の髪を隠し、闇に紛れるような黒の装束に身を包む女。
一人――鉄仮面で顔を隠し、木々に紛れるような深緑のローブを纏う奇怪な男。
「カメロット家当主」を護る為、レイス・アヴァロンが派遣された師団員だ。
彼らの任務は「当主」たるエレインに気付かれぬように彼女を護る事。
その任務を忠実にこなすべく、二人はエレインから極力離れず、
けれど悟られぬ範囲でかれこれ1週間は彼女を監視し続けていた。
だが、彼女を狙う敵が現れるはずもなく、彼女が危機に陥るような事態も起こらず、
今日も平和なまま過ぎ去ろうとしていた。

(――団長の判断ミス、か。いや、可能性は0ではない)

女は細い枝の上にいるにもかかわらず、両の手を胸下で組んだまま、
数メートルは離れているはずの牧場を見ていた。
狩猟民の一族に生まれたこの娘、パメラは生来目がよく、夜目が利く。
多少距離が離れていようと逃さない猛禽の目は談笑する少女を捉えている。
牧場近くに怪しい動きをする者もいない。
今日も平穏無事に一日が終わるのだろうか、女は頭の片隅で呟いた。
だが、彼女の不安は外敵以外にも存在している。

(……オルガ・サグラ。奴は何を考えているのだろうか)

彼女はわずかな時間、少女から視線をそちらへと移す。
オルガ・サグラ。今回の任務で同行することになった仕事仲間だ。
彼はというと女の真下、樹に寄りかかったまま
なぜかエレインのいる牧場ではなく、町の方面を向いている。
仮面をつけている為視線がそちらになっているかはわからないが、
恐らくは、町を見ているのだろう。
パメラもそちらを見遣るが別段何もおかしなところはない。
静かな町には夜の空気だけが満ちていた。

女はあまりこの同僚のことを好ましく思っていなかった。
行き倒れていたところをレイスに助けられた、という話を聞いたのだが、
任務以外での他人との接触を好まないこの男は、
素性を隠し、素顔を隠し、声も出さず足音を立てず、
仕事以外では人前にも現れる事は少なく、時に気配すら消して姿も眩ます。
彼の真意を知る者は恐らくこの世で二人、本人とレイスだけだろう。

それでも、この男はレイスの率いる師団『煉獅子』の副官
――すなわち、自分と同じ地位を獲得している。
実力はある、任務も忠実にかつ完璧に遂行する。物言わぬ刃のような男だ。

(わからない。奴の考えだけが、私には見えない)

だからこそ不安にもなるのだ。

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蒼空
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