TW3「エンドブレイカー!」内PC関係の雑記。
僕なんかいらなかった。
消えてしまえばいいと思っていたんだ。
消えてしまえばいいと思っていたんだ。
鳴いていた。
それは小さく、囁くような声で鳴いていた。
美しい声、高く澄んでいて、壊れてしまいそうなか細い音が響く。
歌っていた。
教えられた通りに、学び続けた音を並べて歌っていた。
澱んだ声、鈍く歪んでいて、全てを壊してしまいたいとそう願ってしまった。
――る、りら、るるり、るらる
何処を見ているのかもわからない、何処にいるのか分からない。
何を求めているのか分からない、何に求められていたのか分からない。
小さな翼を畳んだそれは、そこでただ歌い続けていた。
それの足元には濁った黒い染みと、血まみれで倒れている執事やメイド。
それの周りには鋼の翼を持ったカナリア達が美しく歌を彩っている。
それの眼前には男と女。怯えている二人をそれは、かつて父と、母と呼んでいた。
それの背後にはひとつめの仮面をつけた老人。杖を片手にそれを見ている。
――るりる、り、らら、るり、ら、ら!
歌の終わり、それの声に呼応するかのように小鳥たちが二人を襲う。
それの力ある歌声により二人の感覚は既に麻痺してしまっていた。
刃の翼に切り刻まれる感覚すらないまま二人は嬲られていたが、
やがてぐらりと崩れて落ちた。
静まり返った屋敷に、ひとりの拍手が響き渡る。
老人はそれを――かつては自分の孫だと呼んでいた異形の少年を嗤った。
「なんだアーサー、お前、やればできる子じゃないか」
少年は再び歌い始める。
もう、彼の居場所はどこにもない。
* * *
―遡ること、8年前―
『さて、これからボクらは完全犯罪者になる』
眼前のそれは笑みを崩さぬまま、作り物の声で宣言する。
時間と言うものを形にしていない街では、暗くなれば自然と人は眠る。
されど、今、この場所だけは違っていた。
ランスブルグ第1階層、とある高級住宅街の一角。
薄桃色の闇を纏ったそれの傍らには二人の男が言葉なく佇んでいる。
それは続ける。
『ボクの愛しい下僕1号ことウル君が見るに』
『屋敷内のマスカレイドはざっと見積もっても38体』
『執事は盾、メイドはナイフ、ボス級は杖を持っている』
『執事は城塞騎士、メイドは魔法剣士、ボス級はデモニスタのアビが使える』
『しかしながらこの場にマスカレイドを倒すことができる人間は君達二人のみ』
『終焉を見る力を持たないボクは回復・死体処理係として同伴させてもらおう』
『わかっているね、多勢に無勢どころじゃないってことさ』
「わかってますよォ、座長。戦う前から軽くピンチってことでしょう?」
「……君達、よくこの状況でそれだけ余裕ぶっていられるな」
開けているかもわからない黒髪の男の細い目がより細められる中、
深い青をたたえる男の視線が訝しげに二人に向けられる。
これから彼らが行う事は世間一般の常識で考えると異常だ。
一部の人間以外に判別が出来ない未知の敵を片っ端から潰していく。
たったそれだけのシンプルで難解な異常事態だ。
だが彼らはそれを異常とは捉えない。
彼らは最初から屋敷の人間を皆殺しにするくらいの気でここにやってきているのだ。
失敗など前提にすら置いていない、おぞましく完璧な犯罪者なのだ。
今まで自分がいかに安穏とした日々を過ごして来ていたか、
終焉を見る力を持った男はそれを幸福だと思い、同時に戦慄した。
「ご安心ください、元々こういう仕事には慣れているので。これでも私、犯罪者ですから」
『そんなウル君のご主人様なボクは更に天才的な犯罪者なわけだね!』
「えー、寧ろ座長はただの精根捻くれたロリバb」
『何か言ったかい?』
「いえ、なにも」
「――――」
呆れてものが言えなくなるのは一体何時振りだろうか。と、男は二人を見た。
しかし、こんなふざけた連中でも、男には彼らしかいない。
偶然彼らが、もといあのウルと言う男が、屋敷のメイドの目を見たからこそ知った結末。
その後、私があの家に行ってしまったがために、知ってしまった悲しい終焉。
「――アーサー」
終焉の中で見た少年の、甥の姿を思い出す。
一体どれだけのことがあればあれほど変わり果ててしまうのだろうか。
今にも張り裂けそうな胸を押さえて、男は屋敷を見上げた。
これから起こる惨劇を、人々は猟奇的殺人事件とでも呼ぶのだろう。
(それでも私は、救わなければならない)
彼の目に黒く固い決意が宿る。
そんな彼をよそに、二人の犯罪者は楽しげに武器を構えていた。
『良し、時間だ。行こうかウル君、マルクル君』
「ええ、今日は絶好の殺人日和ですしね、かかっとやっちゃいましょう」
「――ああ、行こう。我らの目的はただ一つ」
マ ス カ レ イ ド
かつて父と呼んでいた男を倒す事。
カ ー ク ヴ ァ イ ・ カ メ ロ ッ ト
「ただ、それだけだ」
※少年の結末とその破壊者達。
どうして彼らがその手を血に染めねばならなかったのか。その理由。
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